2012年02月05日

テネシー・ウィリアムズ Tennessee Williams 「ガラスの動物園」 The Glass Menagerie

テネシー・ウィリアムズ
「ガラスの動物園」
The Glass Menagerie 訳 田島博


登場人物

アマンダ・ウィングフィールド   
母親。若い頃は、もてていた。現在は夫に蒸発され、娘と自分の行く末に不安を抱いている。


ローラ・ウィングフィールド    
その娘。片足が不自由。人目をさけ、ガラスの動物たちを話し相手にする生活をおくっている。


トム・ウィングフィールド     
その息子。この劇の語り手。家族を養うために、倉庫で働いているが、そこは自分の居場所ではないと感じている。


ジム・オコナ           
来訪する青年紳士。トムの同僚。ローラを結婚させようとするアマンダの計画により、夕食に招かれる。




あらすじ

二幕八場。
トムの独白から、追憶の劇の幕があがる。

過去の栄光にすがり、現在の貧しい生活から目をそむけ続けるアマンダ。
教室でもどしてしまったことがショックで、タイプライターの学校をやめてしまうが、
そのことを母に告げられないローラ。
家族のために倉庫で働くが、自分の人生を生きたいと願うトム。

トムが、父親のように家を出ていくことを予感したアマンダは、ローラを結婚させることで
安定した生活を手にいれようとする。

アマンダにせっつかれて、トムが夕食に招待した同僚は、ローラの初恋の人だった。
ガラスの動物たちの前で、ワルツを踊るローラとジム。

ローラは、ガラスの動物園から足をふみ出すことができたのだろうか……。



印象

ローラのような生きづらさを抱えた人は、いつの時代も一定数存在していると思います。
特に現代の日本では、ローラに共感を覚える人が多いのではないかと感じました。
テネシー・ウィリアムズには、精神病院に入院した実のお姉さんがいました。
このお姉さんは、両親の同意により、ロボトミー手術を施されてしまったそうです。

劇中、ジムの台詞
「だれか、あんたに自信をつけたげなくちゃあ―うんと、自分を、高く買うように―うんと、高く!そんなに、恥ずかしがったり、目をそらしたり―あかくなったりしないように、誇りを持たせてあげる人間が―だれか―いなくちゃあ―」

テネシー・ウィリアムズが、お姉さんと両親に訴えたかった言葉のような気がします。

ローラが大切にしているガラスの動物園と、今にも崩れそうな家族がかさなって見えました。

深く静謐な戯曲です。


出典

「ガラスの動物園」 新潮文庫


お気に入りのせりふ

(母に、自分のことしか考えていないとなじられ)

トム「ねえ、お母さん―お母さんは、僕が、会社の倉庫に、惚れこんでるとでも、思ってる?
コンティネンタル製靴会社が、好きで好きで堪らんとでも、思ってるの?
これからさき、五十五年、僕の一生を、あのセロテックスと蛍光燈の穴倉へ、埋めてしまう
つもりだと思う!?
畜生!だれか、鉄棒で、この頭、ぶち割ってくれ!ほんとに、そう思いますよ―毎朝、
あんなところへ出かけて行くことを考えたら!
ところが、やっぱり、でかけるんだ、僕は!

(―中略―)

月に六十五ドルもらって、それで、将来の夢も望みも、何もかも、あきらめてるんです
―永久に!
ところが、お母さんに言わせると、僕は、自分の夢や望みのほかに、何も考えない人間って
ことになるんですよ。
まったく―ねえ!お母さん、もしも、僕が、自分のことだけしか、考えない人間だったら
―いいですか―僕は、親父さんのあとを追っかけてますよ―おん出てますよ
こんなうちは!」


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タグ:アメリカ 4人
posted by とらきち at 13:36| Comment(0) | タ行
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